さてようやく「ビースト・コード」を読み終えましたので書評第三号として取り上げたいと思います。何気に振り返ってみますと純粋な獣竜に関する書評がこれが初・・・第一号で取り上げた「雷星伝ジュピター」は変身物が主軸でありますし、第二号は変身も獣竜も関係ない物でしたからある意味これで第一号とあわせてサイトらしさが揃ったのではないかと思えます。
「ビースト・コード」
米村 貴裕著
リトル・ガリヴァー社 2007年4月27日初版発行
ISBN 978-4-947683-98-4
春、寒い冬が終わると共に暖かくなった陽気の中草木萌え出し人の心もどこか浮き立つそんな時期、高校生大林雷貴もまたその様に普通で、そして心をときめかせているどこにでもいる1人。その心の先にいるのは同級生の1人である女子、そう今日は念願叶っての彼女との初デートの日、初心な雷貴は仲の良いクラスメイトである知子に教えられた様に初めての経験を成し遂げようとしていたのだが・・・。
突然の自らの体に秘められていた秘密、そしてそれに通じる世界に秘められた誰しもに存在する遺伝子の中に封じられたもう1つの存在、自分である古の支配者が現在に蘇った存在『完全体』。
竜、フェニックス、ユニコーン、ミノタウロス、ワイバーン・・・伝説の存在としか思われていなかった多くの存在が入れ乱れる中で世界は、何よりも当事者たる竜として陰謀と対峙せねばならなくなった雷貴とその仲間達はどうなってしまうのか?ただの甘い青春の一幕で終わる筈の午後から始まった戦いは多くの人を巻き込んで世界の命運をかけたものへと拡大していく・・・。
あらすじとしてはこのような感じで、体を機能させるのに必要な遺伝子とは別に存在し眠っている俗にジャンク遺伝子と呼ばれる遺伝子に着目した小説です。分類としては竜獣小説にして変身小説と言ったところで以前に触れた際に書きました様にここまで大きく変身を扱ったのは商業出版では「創竜伝」「KLAN」等以来ではないかと自分の知る限りでは思えました。
必ずしも誰もが無事変身出来る可能性を秘めているのではないと言うところがまた妙にどきどきさせられてしまった所の1つで、幸運にもそれに恵まれていた人が陰謀をたくらむ組織に捕まり無理やり発現させられる過程の描写などはかなりヤバイです(爆
変身好き、特に強制変身ネタが好きな人は是非とも読む価値があるでしょう。またもう1つの存在が雌であったが故に完全体となった際にTS(性転換)してしまうと言う描写も含まれています。
少し観点を変えますと設定の中で発現後は人間としての意識と発現した意識とが、幾ら仲が良くても最終的にはどちらか一方が体を支配するようになりやがては支配できた方の意識を残してもう一方の意識は存在出来なくなると言うのがあります。言ってみれば地球と言う大きな世界を巡っての戦いとは別に体と言う小さなそして重要な世界を巡って、と言う2つの戦いが平行して要所要所に描かれていますので洗脳や悪堕ちと言った描写の好きな方にも楽しめるでしょう。
登場する竜獣は前述しましたあらすじの中に挙げた以外にも、ただ背景描写も含めればそれは多様に多くの存在が描かれていますので変身・獣竜・TS・洗脳・・・と様々な観点より読み解けそして突っ込める事が可能な内容豊富な小説です。少しばかりテンポが早いかなと思える点はありますがそれを差し引いてもボリュームはありますからより多くの方に読まれる事を願いつつオススメしたいと思います。


